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こんな疑問に答えます。
この記事の内容
銀行員がやりがいを失う理由
銀行業界の今後
銀行員のやりがいとは
この記事を書いているわたしは現役の銀行員でして、過去に3度転職して証券会社、外資系銀行、M&Aコンサル会社を経験しています。
なので、比較的フラットな目線で銀行員のやりがいをご紹介することができる筈です。
では早速説明していきます。
銀行員がやりがいを失う理由
代表的な理由は以下3つ。
銀行員がやりがいを失う理由
- 無駄な仕事が多い
- 顧客ニーズに沿わない提案
- 銀行の将来が不安
無駄な仕事が多い
もう少し深掘りするとこんなところ。
銀行員の無駄仕事
- 会議のための会議
- 未だに残る紙文化
- 辻褄合わせの仕事
『お金を貸す』という仕事の性質上、関係者が多いのは仕方ない面はあります。
とはいえ、証券会社・コンサル業界でも働いていた私としては、銀行はちょっと度を越してるなと感じます。
これは私が働いている銀行特有なのかもですが、昔作られたその場凌ぎのルールに合わせるための無駄な作業がなんと多いことか・・・。
付加価値もまったく生み出さない仕事があまりにも長い期間続くと、働くことの意味を考え易いのでやりがいを失いがちですね。
顧客ニーズに沿わない提案
ここも深掘りするとこうなります。
顧客ニーズに沿わない提案
- 顧客メリットの薄い商品の販売
- 期末の貸し出し提案
前者は投資対象やテーマに目新しさのない新規設定された投資信託や仕組債。
後者は3月末に貸出実行、4月末に返済などの貸出残高を意識した取引。
世間では銀行員に相談しても騙される」なんて声が多いようですが、経験上、銀行員の中に騙してやろうなんて心理はこれっぽっちもありません。
会社がコレを売れというから仕方なく売っている、ただそれだけです。
銀行員自身も「この商品微妙だなぁ・・・」と感じているケースが大半。(ごく稀に本当に良い商品だと思って提案している銀行員がいますが、あくまでレアケース)
なので、銀行員自身の心も荒んでいき、結果、やりがいを失っていきます。
銀行の将来が不安
最近はコレが理由でやりがいは何か?を探す風潮があります。
銀行の将来の何が不安なのか、言語化すると主にこの3つかと。
銀行員はコレが不安
AIの普及でリストラに合わないか?
AIの普及で銀行業自体が消滅しないか?
定年後の職があるか?
リストラの優先対象は人員過多のバックオフィス
正直、この記事を書いているわたし自身、不安を全く感じていないと言えば嘘になります。
メガバンクのリストラも話題になってますしね。
ただ、リストラに関して言えば、この記事を読んでいただいている方の多くは営業を主として日々働いている方が多いと思いますが、この分野の人材の雇用はまだ比較大丈夫なのでは?と考えています。
銀行の問題点は、使えない40・50代社員よりも、付加価値が著しく低い事務面の人材コストです。
経営陣が本当にリストラしたいのはこの分野。まだ時間はあると見ています。
定年後の職に対する不安は残る
とはいえ、定年後の職があるのか?という不安はぬぐえません。
銀行員は『手に職が就くようで就かない』と言われており、前述した顧客ニーズに沿わない提案も合わさってやりがいを感じにくくなります。
銀行の今後
では銀行の将来像はどんなものなのか?
現在起きていることから個人的に予測すると以下の通りです。
銀行界で今後起きること(予想)
自動化で大きく減少する事務業務量
弱体化する営業
銀行の2極化
自動化で事務は減少
定型化された業務は今後減ります。
具体的にはこんな業務。
代表的な定型業務
申込書や請求書の処理
入出金の処理
顧客宛の定型メールの送信
これはほんの一部ですが、該当業務で働いている方は仕事がなくなるので、他の部署へ異動になる可能性が高いです。
弱体化する営業
以下を理由に銀行の営業力は低下していくと予想します。
銀行の営業に対する逆風
増えない貸出ニーズ
世間からの批判
ノルマの廃止
厳密に言えば、貸出ニーズはスタートアップの企業を中心に存在している筈ですが、このレイヤーはファンドなどに取られています。
加えて、貸出業務をシステマティックにしてきた弊害で、中小企業の与信をしっかり見ることができる銀行員が減少しており、案件化が出来ない状態ですね。
更に付け加えて、世間からの銀行に対する強い風当たりを受けてノルマは廃止される流れです。
功罪ありますが、ノルマと言う強烈なプレッシャーが銀行の高い収益性の源泉だったことは紛れもない事実だと思いますので、銀行の収益力はまずます衰えていく可能性が大かと。
銀行は2極化する(個人的予想)
それでは何で儲けるの?に対するひとつの解が【投資銀行化】だと個人的には考えます。
2極化と弱体化するビジネス
投資銀行化する銀行とそれ以外の銀行
資産運用ビジネス、M&Aビジネスは門外漢
国内の大企業や海外企業のシンジケートローン、リーマンショック前に一世を風靡した為替デリバティブぐらいしか、まとまったアップフロントフィーを得るプロダクトがないのが現状です。
となると、バックオフィスなどは極力規模を縮小し、今よりも少ない人員にするしか銀行が生き残る道はないのかなと。
資産運用ビジネスやM&Aビジネスは元々銀行の専門外なので(前者は証券会社、後者はコンサルや税理士・会計士)、儲かるビジネスとして維持することすら難しいように思います。
銀行員のやりがいとは
じゃあ銀行員のやりがいって何なのよ?に対するわたし個人の意見は以下の通り。
銀行員のやりがい
- 会社員として安定した給料
経営者と直接話す機会を持ち易い
新しいビジネスを支える仕事
会社員として安定して高い給料
会社員としてはやはり給料が高いです。
30代前半で1,000万円前後到達という報酬体系はやはり魅力的だなと感じます。
最近だと「フリーランスの方が高い」という風潮があって、それは事実もあるのでしょう。
とはいえ、全員が成功する訳ではないフリーランスと違い、銀行員なら成績が特別悪かろうが最低限の報酬として他の業界よりも高い給料をもらえます。
この特典は大きいと言えます。
経営者と直接話す機会を持ち易い
証券会社などの業界でも経営者と面談する機会を持つことは可能です。
ただ、証券会社にも在籍した経験を踏まえてこれは個人的な意見ですが、銀行員の立場で経営者と面談するときの方がやりがいを感じましたね。
違い
証券会社の担当者との面談=投資の相談
銀行の担当者との面談=事業・資金繰りの相談
以上の2点を踏まえると、やはり経営者のマインドとして銀行員との面談の方が、より事業家としての顔が出易いのだと思います。
新しいビジネスを支える仕事
やはり銀行員の醍醐味は【今後成長するだろう企業にお金を貸し、成長を後押しすること】に尽きます。
金利低下を受けて「あまり儲からない」との評価から近年あまりピックアップされない仕事かもですが、銀行員としてのやりがいを一番感じるポイントはここだろうと。
銀行員のやりがい:まとめ
以上をまとめます。
やりがいを失う理由
無駄な仕事が多い
顧客ニーズに沿わない提案
銀行の将来が不安
銀行の今後
自動化で事務業務量は大きく減少
弱体化する営業
銀行の2極化
銀行員のやりがい
会社員として安定した給料
経営者と直接話す機会を持ち易い
新しいビジネスを支える仕事
以上です。
金利低下を受けて銀行の将来性を危惧する声が内外共にに多いですが、企業の資金面を支えるという社会的使命・やりがいを感じることのできる日々を過ごしたいですね。
少しずつ変えていきましょう。
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【業界研究】銀行の実態・将来性
(読了目安時間:電車2~3駅分) この記事は銀行・証券・外資系・コンサル関連の転職情報、業界比較記事をお探しの方向けの内容です。ご関心のない方はページを閉じていただいて構いません。 &n ...
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